菊地 もなみ16期生
電車で片道2時間ほどかけて、大学へ通いながら本校へも通学されていた菊地さん。演技経験はほとんどないというところから入学、そして忙しい環境を乗り越えながら通学した当時のことをお伺いしてみました。
アカデミ宜しくお願いします。
菊地よろしくお願いします。
アカデミでは、早速ですが、女優さんになりたいと思われたのはいつ頃だったのでしょうか?
菊地俳優になりたいと思ったのは、中学一年生の終わりぐらいからですが、UPSに入るまで、お芝居をやったことは、文化祭など数えるくらいしかありませんでした。
アカデミ学校の演劇部などには?
菊地中学一年生で陸上部に入ってしまい、機会を逃してしまったので、演劇やりたいな、と思っていても踏み込めなくて。 でも高校3年生の文化祭の時に、思い切って自分で企画して、ミュージカルを有志の仲間と上演したんです。そのときに、「あぁ、やっぱりこの道に行きたい」と思いまして。 それで演劇が盛んな大学に入りたいと思って必死に勉強しました。
アカデミ大学で演劇を?
菊地はい。老舗の演劇サークルが沢山ある大学に入って、役者として舞台に立ちたいなと。 行きたいところに合格しなかったら、大学に行くより俳優の勉強をしたいと思ったので、アメリカに行って演劇を勉強したいと思っていました。
アカデミお、オールオアナッシングというか…凄いですね。大学の演劇部というか、サークルに入りたかったんですね?
菊地そうだったのですが、合格して入学が決まった時に東日本大震災があり、入学式がなくなり、大学の開始が1ヶ月ほど遅れました。 演劇がやりたいけれど、何から始めたらいいかわからないし、これからどうやって俳優になっていけばいいのだろう、と悩みました。
アカデミ本当に大きな事件でしたからね。そこで考える時間ができたと。
菊地そうですね。 そんな時、ある記事のことを思い出しまして。 中学生の時、私が芝居をやりたいことを知っていて、母が、陽子さん(奈良橋陽子)の「夢をかなえるゾウ」という舞台のインタビュー記事を持ってきてくれました。 その記事をずっと机の引き出しに入れていたのですが、もう一度それを読んで、絶対この人に会ってみたいと思いました。それで思い切ってこちらの事務所にどうしたら陽子さんに会えるか、電話をしてみたんです。
アカデミええ?
菊地その記事に陽子さんがアメリカに行って演劇学校に行かれていたことなども書かれていて、私もアメリカの演劇に興味があったので。
アカデミ演劇界の規模も日本に比べると大きいですもんね。
菊地はい。 電話した時に、事務局の方が出てくださって、 「どうしたら陽子さんに会えますか」と、今思えばいきなり変なことを聞いてしまいました。 (笑) その時、彼女はすごく忙しいので会えるかわからないけれど、ここは演劇学校で、UPSでやっていれば会える時があるかもしれないよ。と教えてくれました。
アカデミそれで入学されたんですね?
菊地その時は本科がもう締切だったのですが、夜間のワークショップがあるということだったので、まずはそこに行ってみようと思いました。
アカデミワークショップから始められたんですね?ワークショップはどんな印象でしたか?
菊地その時は演劇のことも、表現のことも、何も知らなかったので、演技や芝居をするということより、“表現する”ことの楽しさを学んでいました。
アカデミそれで本科に?
菊地ワークショップをやっている中で、UPSは演技を教えてくれる学校だけれど、学校にいつまでも居ることはできない。いつか自立をしなければならないとも感じました。 自分のやり方を見つけていかなければと。 その時、先生が、「お前が本当にここで役者としての基盤を築いていきたいのなら、本科に入ったらどうだ」と薦めてくれて。 決められた期間のなかで、自分が本当に表現者として生きていきたいのか確かめてみたい、本気で飛び込んでみようと、入学を決めました。
アカデミそうだったんですね。入ってみて実際に本科とワークショップの違いを改めて感じることは何かありましたか?
菊地ワークショップと比べると、本科のほうがより深く、仲間と学べる喜びが感じられます。お互い必死に役に取り組み、生き生き芝居している姿を目の前で見られることが私にとって大きな糧になったと思います。
アカデミよりよい芝居が見れるという…?
菊地映画一本借りてくれば、偉大な俳優の演技が見れて、それも素晴らしい勉強になると思うのですが、日々切磋琢磨してきた仲間であり、生身の人間が、自分の目の前でめいっぱいさらけ出して芝居をやっているのを見ることは、私にとって何よりの刺激になりました。
アカデミなるほど。それは刺激になりますね。そういえばもうひとつお聞きしたかったのは、大学に通いながらこちらにもということでしたが、大変でしたか?
菊地正直に言うと、大変でした(笑)
アカデミ(笑)やっぱり。では、そんな菊地さんは例えばどんな人がこのクラスに向いていると感じますか?
菊地UPSは、自分が怖いと思うことに挑戦できるようなところだと思います。 仲間がいるから、恥ずかしくったって、怖くたって、挑戦することができる。 だから、表現したくてもできない、やりたくても何から始めたらいいかわからない人、不器用な人に、勇気を出して飛び込んでみてほしいと思います。 飛び込んでみれば、きっと、知らなかった自分の一面に気づけます。そして、それが必ず、自分を強く成長させてくれる。
アカデミ迷っている方がいらしたら、どんなふうに声をかけますか?
菊地迷っているということは、扉の前まできっと来ています。 その扉を開けるか開けないか、それがまず、最初の一歩。 心の声を聞いて、どうか一歩踏み出してほしいと思います。
アカデミ自分で動いてみようということですね?
菊地そうですね。
アカデミなるほど。そうですよね。ありがとうございます。
菊地こちらこそ、ありがとうございました。